怪獣たちの足元で、明日を考える。
第30話 Fun

次の足跡 ―― 新しいノートの最初のページ

Gō Shiomi Gō Shiomi
次の足跡 ―― 新しいノートの最初のページ

朝だった。いつもより少しだけ早く目が覚めた。

窓を開けると、空気が冷たくて透明だった。鞄の中で3冊のノートが重なっている。その隣には、まだ何も入っていない空間がある。新しいノートのための場所だ。

今日は、ノートを買いに行く。


あの文具屋へ

文具屋に向かった。1冊目のノートを買った、あの店。商店街は戦いで壊れた屋根を修理している店や、瓦礫を片付けて花を植え始めている軒先もあった。文具屋の看板は、あの日と同じように少し傾いていた。

店主のおじさんが「またノートかい」と笑った。あの日と同じ、目が細くなる笑い方。「4冊目だろう。覚えてるよ」。1冊目を買ったのがこの店だと、おじさんは覚えていた。

棚の前に立った。一番下の段に、1冊目と同じ100円のノートがある。何を書くかもわからないまま、一番安いのを選んだあの日。

今度は、少しだけ良いやつを選んだ。表紙がしっかりしていて、雨に強い紙のやつ。もっと遠くまで行く気がした。だから、旅に耐えるやつがいい。

会計のとき、おじさんが僕の手を見て言った。「字を書く手になったね。前に来たときは、ペンの持ち方がぎこちなかったよ」。

自分では気づいていなかった。ペンの持ち方が変わっていたらしい。3冊分、書き続けた手だ。おじさんにはそれが見えていた。

文具屋の棚の前で新しいノートを手に取るノビ
同じ店で、少しだけ良いノートを。

北か、海の向こうか

店を出ると、崖の方からドスンドスンと地響きが聞こえた。ガリョウだ。朝からスクワットをしている。最初に出会った日と同じ場所で。ただ、あの頃は怖くて近づけなかった背中が、今は懐かしかった。

クロワは宿の机に見たことのない地図を広げていた。海岸線が複雑に入り組んだ、精密な地図。クロワの目が、未来を設計している目になっていた。

🦕 ノビ

次はどこに行くんですか?

🦖 ガリョウ

北だ。

🐉 クロワ

海の向こうだ。

2匹が同時に言って、顔を見合わせた。一瞬、昔のようにバラバラになりかける空気が流れた。でも、一瞬だけだった。

🐉 クロワ

……両方行けばいい。順番に。北を経由して、港に出る。そこから海を渡る。合理的なルートだ。

🦖 ガリョウ

……行くか。

🐉 クロワ

設計だ。

ガリョウが「行くか」と言ったとき、クロワが「設計だ」と返すまで、もう棘がなかった。

地図を囲んで次の行き先を話す3匹
北か、海か。答えは「両方」だった。

最初の一行

新しいノートを開いた。真っ白な最初のページ。

「4冊目。今日は晴れ。3匹で北に向かう。」

それだけ書いて、閉じた。続きは歩きながら書けばいい。

🦕 ノビ

行きましょう。

朝日を背中に受けて、3匹は歩き出した。ガリョウが先頭で、クロワが地図を片手に、僕はノートを鞄に入れて。いつもの並び方だった。

丘を越えた先は、まだ白い道が伸びていた。どこまで行くかはわからない。

3匹の足音が重なっていた。それだけで十分だった。

朝日の中、新しい道を歩き出す3匹の後ろ姿
3匹の足音が、道を作る。

その夜、ノビはノートにこう書いた──

4冊目のノートを買った。文具屋のおじさんが「字を書く手になったね」と言った。そういうことだと思う。

旅立ち · 新章 · 希望

あわせて読む

シリーズ一覧を見る →